なぜ品質改善が難しく、現場が疲弊するのか

本来であれば、障害分析には“適切な情報が記載された障害履歴”が必要です
理想的には──
・ 設計書や状態遷移図がきちんと整備されていて、
・ 障害報告はすべて統一フォーマットかつ、入力不備なく、誰でも理解できる文章で書かれていて、
・ 状態変数やUI条件も明確に管理されていて、
・ 機能追加/改善部分だけでなく、過去分も含めて全体を把握できるドキュメントが管理されていて・・・
…でも、現実はそうではありません。
・ 障害報告の多くは自由記述で書かれており、人によって視点も粒度も違う
・ ソースコードでしか、現象と原因、対策が書かれていない
・ 状態名やUIの挙動がバラバラに書かれ、設計の視点で並べ替えるのも難しい
・ そもそも“ちゃんと書く余力がない”
・ ドキュメントが揃っていない。最新かつ必要な記述がすぐに見つからない
だから本当は、分析する以前に「書き直す作業」から始めないといけない。
けれど、その手間やリソースは現場には残っていません。
そこで当社では、
「今あるバラバラな障害一覧」そのままをAIが読み解き、
設計視点で再構成し、再発防止・未然防止につながる改善支援をご提供します。
このような現場でも、改善の一歩を踏み出せます
・ 障害が毎週のように起きているのに、いつも場当たり対応になってしまう
・ 対処してもまた同じ不具合が発生し、再発の構造が見えていない
・ 新機能を出すたびに、既存機能が壊れないか不安になる
・ 設計書もテスト仕様も現場任せで整っておらず、手が回らない
そんな現場でも、今ある障害一覧(形式・記述がバラバラでも)から、“設計上の構造的な弱点”をAIが抽出し、
再発防止と未然防止につながる改善支援を提供します。
障害一覧という“現場の断片”を、未来に活かせる“設計改善の資産”へ
障害一覧は、本来「問題が起きた履歴」でしかありません。しかし、そこに隠れたパターンや構造を見つけ出すことで、
設計そのものを見直すための“宝の山”に変わります。
フォーマットがばらばらでも、設計書がなくても大丈夫。 **いまある情報を、いま使える形に変えて、次の改善につなげます。
この支援で得られる、本質的な価値
再発防止
繰り返す障害の“なぜ”に踏み込み、AIが構造的な原因を特定。
状態やイベント、関係性の観点から設計を見直し、
お客様へ同じ被害を二度と与えないための改善につなげます。
未然防止
過去の障害に潜む偏りをAIが分析。
状態変数や要求モデリングの視点から、将来のリスクを予測し、お客様へ将来的な被害を与えないよう、設計・テストで先回り対応を実現します。
設計・レビューの属人性を減らす
AIが障害記述から「どの状態で何が起きるべきか」を補完。
判断が人に依存せず、チームで共有できる軸が生まれます。
設計・テスト・レビューにおいて、判断の軸をチームで共有できるようになります。
抜けやすい条件やパターンをAIが補完
状態や条件に対する観点が自動整理され、テストケースの抜けや偏りを減らせます。
テストケースの見落としを減らし、重要なチェックポイントに集中できるようになります。
どのように支援するのか?(要求モデリング × AI分析)
当社では、以下のような手法を組み合わせて、要求モデリングとAI分析を連携させた設計改善支援を行います。
※AIについては、新たな専用ツールを導入するのではなく、お客様が普段ご利用のChatGPT等の汎用AIツールを活用するため、追加の導入費用はかかりません
意味の揺れを整える(AIによる障害記述の構造化)
AIによる障害記述の意味解析・クラスタリング
記述ゆれ・言い回しの違いを統合し、設計視点で分類します。
設計の弱点を構造的に整理する
状態変数ごとの障害頻出パターン抽出
どの「状態の値」や「イベント遷移」に障害が集中しているかを自動抽出します。
WHATカテゴリ(設計の弱点分類)へのマッピング
「リクエストされない」「フラグが未設定」など非技術者が理解できないHOW表現を、設計の構造問題(WHAT)として、捉え直します
同時に要求モデリングも活用する
要求モデリングを起点とした構造の整理
ステークホルダー・状態変数・やり取り(入出力)を明確にし、どこで何が起きるべきか/どんな状態が考慮されているべきかを整理します。
そのうえでAIによる障害分析と突き合わせ、“現実に抜けている観点”を自動抽出します。ユーザーや関係者(ステークホルダー)とシステムの関係、取り扱う状態変数を可視化したうえで、イベントや振る舞いの整理につなげます。
状態変数のデータ辞書・イベントリストの生成と補完
システム全体に影響を与える状態変数のデータ構造を補完し、その状態変数から
抜け・あいまいなイベントや設計項目を構造的に整備し、要求や仕様のすり合わせに活用します。
影響範囲を可視化する
影響ステークホルダー・UIとの関係性の可視化
問題の影響範囲を明確にし、再設計・テスト対象を絞り込みます。
統計的品質改善で、上流から設計・プロセスを見直す

SIRASの品質改善支援は、テストやコード修正だけでなく、設計構造・上流ドキュメント・開発プロセスそのものを対象としています。
不具合や手戻りの原因は、実装以前の要件整理や設計の構造に起因することが多く、現場で発生する品質課題の多くが、見えにくい構造上の弱点から生まれています。
私たちは、設計構造や情報の流れを定量的に分析し、再現性のある形で“設計品質”と“プロセス”を改善します。
また、スクラム開発において重要とされる「透明性」「検査」「適応」の3つの柱を品質改善にも応用し、情報が共有され、変化に強い開発体制づくりを支援します。
主な支援内容

品質レポートの可視化・共有
設計・コード・プロセスに加え、本番障害の発生傾向や原因構造まで可視化し、品質課題を定量的かつ構造的に把握できるレポートを作成します。
再発防止に必要な視点(構造・プロセス・責務・認識のズレ)を整理し、技術者・マネージャー・経営層が共通言語で品質を語れるよう設計されています。
さらに、未然防止の観点から、設計・コードそれぞれに対する具体的な改善策を提案し、その実施まで責任を持って伴走支援します。

ソースコード構造の診断と改善支援
コードの複雑度・密結合・責務の偏り・循環依存など、構造的な問題点を静的解析やモデリングを通じて可視化します。
その結果をもとに、モジュール再編・責務分離・共通化の設計方針を提示し、リファクタリングやリアーキテクチャに向けた改善の実施を伴走支援します。
さらに、経営層・マネージャー層向けには、影響範囲・工数・効果を整理し、合意形成や優先順位づけの判断材料として提供します。
現場とマネジメントの両方を巻き込みながら、着手しやすく継続可能な品質改善を実現します。

プロセス改善とCI/CDの最適化
開発プロセスに潜む非効率・属人化・遅延ポイントを構造的に分析し、チーム特性に合わせたプロセス再構成を支援します。
テスト・レビュー・デプロイといった一連の流れを見直し、品質とスピードを両立できるCI/CDパイプラインを設計・構築。自動化だけでなく、手順の明確化・判断基準の標準化・教育展開まで対応します。
また、プロセス変更に伴うマネジメント判断やチーム調整も含めて、現場に定着するまで伴走支援を行います。

設計・ドキュメントの構造改善
設計書・仕様書・レビュー記録などが属人的・断片的に管理されていることで、読みづらさ・引き継ぎ困難・認識ズレが生じやすくなります。
SIRASでは、要求モデリングや要求工学の視点を取り入れ、情報の構造・粒度・表現を整理し、誰が見ても理解しやすい設計・ドキュメントの型を定着させます。
これにより、レビュー時の観点漏れ・認識ズレの防止だけでなく、プロセス全体の品質と再現性を底上げします。

コード構造起点のテスト支援
属人的なテスト設計では見落とされやすい、複雑な分岐・例外・状態遷移に対して、システム全体の構造と最重要なデータ定義(状態変数)をもとに、テスト観点・シナリオ・網羅性の見直しを支援します。
また、コード構造や責務の偏りなどから弱点領域を抽出し、テスト戦略(優先順位・粒度・自動化範囲)の再設計にも対応。
単なるテストケース追加ではなく、構造とリスクに基づいた“考えるテスト支援を提供します。